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【全編ワンカット】1917 命をかけた伝令(2020)あらすじと感想【圧倒的没入感】

2020年公開の戦争映画「1917 命をかけた伝令」のレビューをネタバレなしでご紹介。
おおまかなあらすじから、筆者の感想、良かったところ・悪かったところをわかりやすく解説。
この映画は「戦争映画」「第一次世界大戦」「サム・メンデス」これらが好きな人におすすめです。


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作品情報

2020/02/14公開、119分、イギリス、アメリカ、戦争映画
監督:サム・メンデス
キャスト:ジョージ・マッケイ、ディーン=チャールズ・チャップマン、マーク・ストロング、アンドリュー・スコット、リチャード・マッデン、クレア・デバーク、コリン・ファース、ベネディクト・カンバーバッチ

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『1917 命をかけた伝令』予告2


あらすじ

第一次世界大戦中の『とあるイギリス兵の壮絶な一日』をリアルタイムで描き出す。
主人公は若きイギリス兵のウィリアム・スコフィールド(ジョージ・マッケイ)とトム・ブレイク(ディーン=チャールズ・チャップマン)。
彼らは、トムの兄が所属する1,600人のデヴォンシャー連隊の命を救うため、決死の覚悟で激戦地を潜り抜け『作戦中止』の伝令をマッケンジー大佐(ベネディクト・カンバーバッチ)に届けに行く。

レビュースコア(100点満点)

80点/100点

この映画を一言で表すと

第一次世界大戦の塹壕戦を伝令兵の視点で疑似体験できるドキュメンタリー風戦争映画




映画の感想

第77回ゴールデングローブ賞において、ドラマ部門の『作品賞』『監督賞』の2冠を獲得。
第92回アカデミー賞においては『撮影賞』『視覚効果賞』『録音賞』の3冠を獲得した作品です。

監督は『アメリカン・ビューティー』『007 / スカイフォール』を手掛けたサム・メンデス。

物語の中心人物となる若きイギリス兵役は、若手俳優のジョージ・マッケイ、ディーン・チャールズ=チャップマン。
その脇を固めるのは、『ドクター・ストレンジ』のベネディクト・カンバーバッチ、『キングスマン』のコリン・ファースマーク・ストロングらイギリスを代表する実力派俳優です。

なお、本作の大筋はサム・メンデス監督が『祖父のアルフレッド氏から聞いた話』を元に描かれています。
第一次世界大戦中、アルフレッド氏はイギリス軍の伝令兵を務めていたとのこと。

圧倒的没入感を味わえる新しい戦争映画

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出典元:YouTube/『1917 命をかけた伝令』予告2

全編ワンカット風の映像なので、見ている側も主人公と共に行動をしている気分になり、本当に戦場に居るかのような雰囲気を味わうことができます。

カメラは常に主人公の後を追い続けていました。
細長く広がる塹壕を突き進むシーンではあまりの窮屈さに息が詰まりそうになりましたし、廃屋で主人公がスナイパーに狙われるシーンでは、心臓のドキドキが止まりませんでした。

全体的に視点はやや狭めなので、場所によってはステルス系のゲームをプレイしている気分にもなったり。

兵士A「遠くに見えるあの小屋ちょっと調べてみようぜ」
兵士B「おう、俺は前から行くからお前は裏からまわれ」

みたいなやりとりはPUPGをプレイしている感覚になりました。
小屋の見た目とサイズ感が、実際にゲームに配置されているものに近いんですよねw

敵がすぐそこに居るかもしれないという恐ろしさが常にあり、最後まで気の抜けない映画でした。

戦争の恐ろしさをさりげなく描いている

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出典元:YouTube/『1917 命をかけた伝令』予告2

直接的に大きな戦闘シーンがあるわけではないのですが、ところどころに散りばめられた『戦争の傷痕』が物凄く生々しくて恐怖を感じました。

泥沼に人が無造作に積まれていたり、ぷかぷかと水面に浮かんでいたり、鉄条網に身体の一部がはまり込んでいたり……
カラスとハエがそれらに群がっていたのがまた悲惨でした。

そして何よりも恐ろしかったのは、この地獄のような空間に順応してしまっている兵士達。
休憩中の一般兵は皆どこか放心状態でした。
彼らは体力的にも精神的にも既にボロボロだったのでしょう。

でもこの過酷さは実際に当時の人々が体験した『事実』なわけで。

やはり戦争は恐ろしい。
戦争のない時代に生まれたことを有り難く思います。

ストーリーは抽象的だが、映像美は最高なので観て損はない

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出典元:YouTube/『1917 命をかけた伝令』予告2

『危険な最前線を駆け抜け、味方に伝令を届けに行く』というシンプルなストーリーで、後半は主人公の台詞も少なく、ひたすら歩き続ける場面が多い映画でした。

全体的な雰囲気はクリストファー・ノーラン監督の『ダンケルク』に近いと思います。
ダンケルクのほうは様々な視点から戦争のリアルを描いていましたが、こちらは『伝令兵の視点』のみに絞っています。

人間ドラマや大規模な戦闘シーンはあまりないので、淡々と進むドキュメンタリー風ではありますが、だからこそのリアリティ・没入感がありました。

主人公の生い立ちや感情を深く説明しないから、より感情移入がしやすくて、まるで自分もその場にいるかのような新しい映画体験ができました。

ワンカット手法のアイデアは本当に素晴らしかったと思います。

それでは最後にこの映画の良かったところ、悪かったところを箇条書きで記載いたします。

評価まとめ

良かったところ
  • 映画への没入感が凄まじい
  • リアリティがある場面描写
  • ワンカット手法が効果的に使われている
  • 光と影の使い方が芸術的
悪かったところ
  • ワンカットであることを推しすぎて、内容に集中できない
  • 若干の間延びは否めない
  • ドイツ兵を悪として描きすぎている


主人公のスコフィールド君、最初はやる気が感じられなかったので「大丈夫か?こいつ」と思いましたが、彼は英雄でしたね。
任務に対する姿勢も素晴らしかったし、友人とその兄に対する敬意も素晴らしかった。

以上、1917 命をかけた伝令のレビューでした。

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